
FIRE目標額の資産が貯まった人、または継続中の人も誰もが一度は必ず思うことがあるはず。
もう働きたくねえ、、、
俺も1億円を超えたあたりから、分かりやすく労働意欲が低下していて、本気で考えるようになった。
ただ、「4%ルールで計算したら余裕」という記事は腐るほどあるが、問題は、その計算が綺麗すぎることだ。インフレも、税金も、子供の教育費も、相場の暴落も、一切考慮していない。
じゃあ、現実の条件を全部込みにして、よりリアルなシミュレーションをしたら1億でのFIREはどれくらい現実的なのかを見ていきたい。
目次
4%ルール

4%ルールは有名すぎるけど、「資産の4%を毎年取り崩しても、30年以上資産が持続する」という経験則である。(1990年代にアメリカで行われたトリニティ・スタディが出典で、FIRE界隈では最も有名な指標になっている)
1億円に当てはめると、年利4%で年間400万円の取り崩しが可能。月換算で約26.6万円(税引き後)。
一人暮らしなら十分生活できる水準だ。
4%以上のリターンがあれば理論論上も資産が永続するので、一般的ん生活水準であれば余裕でFIREできる。
だけど、シミュレーションする上での現実的な考慮事項は山ほどある。
シミュレーションの前提条件

最初に前提を整理しておく。
| 条件 | 設定値 | 理由 |
|---|---|---|
| 運用商品 | オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式) | 長期分散の代表で、一番保有しているのもあり、オルカン一本で計算する。 |
| 平均リターン | 9%/年 | オルカンの長期平均リターン(過去実績ベース) |
| 年間取り崩し額 | 400万円(2%インフレで毎年増加) | 4%ルール。夫婦2人の生活費想定 |
| インフレ率 | 2%/年 | 生活費が毎年2%ずつ上がる想定 |
| 税制 | 今回は考慮しない | 変数を絞って暴落の影響を見るため |
「オルカンの平均9%」は、過去の長期実績に基づく数字だ。将来も同じ保証はないが、長期分散投資のベンチマークとして一般的に使われる水準で計算する。
また、年間インフレ率は現状を考慮して少し高めの2%と仮定する。
そして、ここからさらに暴落率を加味していくと、より現実的なシミュレーションができる。
まず「暴落なし・理想ケース」で計算してみる

まずは暴落を一切考慮せず、毎年9%のリターンが続いた場合だ。
| 時点 | 資産残高 | 生活費(名目) |
|---|---|---|
| FIRE時(35歳) | 1億円 | 400万円/年 |
| 10年後(45歳) | 約1.7億円 | 約487万円/年 |
| 20年後(55歳) | 約3.2億円 | 約594万円/年 |
| 30年後(65歳) | 約6.7億円 | 約724万円/年 |
| 40年後(75歳) | 約14.7億円 | 約882万円/年 |
当然ながら資産は取り崩しながら増え続けていき、9%のリターンが4%の取り崩しを大幅に上回るため、インフレで生活費が増えても資産が育っていく。40年後には約14.7億円という計算になる。
「余裕でしょ」と思うのは当然だ。問題は、現実がこの理想ケース通りには進まないことにある。
暴落を加えると話が変わる

現実の相場では、数年に一度の暴落が必ず来る。リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)、直近の急落局面——歴史を振り返れば、5〜10年に1回は大きな下落があった。
ここで気になるのは、「5年に1回-20%」がどれほど現実的なシナリオかという点だ。
過去のオルカン(全世界株)の暴落実績を振り返ると、-20%超えはリーマンショック(2008年、約-50%)、コロナショック(2020年、約-30%)などで確認できる。
ただし「5年ごとに-20%」という高頻度・高規模が続くのは、歴史的にはかなり悲観的な想定に入る。オルカンの長期平均9%というリターンと整合しにくい組み合わせでもある。
平均9%が続く前提であれば、少し悲観的に考えても-10〜-20%の暴落が5年に1回というシナリオくらいが「現実的」に近い。
資産1億のリアルシミュレーション
そして暴落を加味したパラメータで計算していく。
今回使わせていただいたシミュレーターは、「資産取り崩しシミュレーション【ちゃすく】」だ。
インフレ率や年利の標準偏差を考慮した試算が可能で、モンテカルロ法で500回シミュレーションを回すことで、単純な平均値計算では見えない「運が悪かったケース」まで含めた分布を確認できる。
入力した条件はこちら。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 初期資産額 | 10,000万円(1億円) |
| 年利 | 8.9%(オルカン長期平均) |
| 年利の分布 | 正規分布(より現実的) |
| 年利の変動幅 | ±15%(-6.1% 〜 +23.9%の範囲で変動) |
| 年間取り崩し額 | 400万円 |
| インフレ率 | 2% |
| インフレ率の変動幅 | 中(適度な変動) |
| 暴落の適用方法 | 追加下落(通常の年利変動に加えて、設定した下落幅が追加で適用) |
| 暴落の間隔 | 5〜10年 |
| 暴落時のマイナス年利 | -10〜-20% |
| 取り崩し年数 | 40年 |
| シミュレーション回数 | 500回 |
年利8.9%は「オルカンの長期平均リターン」として広く使われる実績値を採用している。
±15%の変動幅を加えることで、良い年・悪い年のばらつきを再現している。かつ、暴落は「5〜10年に1回、-10〜-20%」という、過去の相場実績に基づいた現実的な範囲で設定しているため、年利約9%といえど、かなり現実的なシミュレーションを行うことができる。
シミュレーション結果
結果は下記のとおり。

結果
| 成功率 | 99.0%(495 / 500回) |
| 成功率(資産も増加した場合のみ) | 95.8%(479 / 500回) |
詳細内訳
| 結果 | 回数 |
|---|---|
| ✅ 成功 & 資産増加 | 479回 |
| ⚠️ 成功 & 資産減少 | 16回 |
| ❌ 失敗(資産枯渇) | 5回 |
40年後の最終資産額の統計(成功ケースのみ)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初期資産 | 1億円 |
| 平均値 | 約5.4億 |
| 中央値 | 約4.95億 |
成功 & 資産減少も成功とみなすのであれば、成功率は99%。
資産増加するケースでも95.8%という結果。
40年後も資産が残るという視点では、まず勝ち確な印象なんだけど、資産が減る、または枯渇する確率は4%以上はあるのも事実。
もちろん、これはあくまでシミュレーションで、副業収入などは一切なく、今後のライフイベント(子供が増えるなど)も考慮せずに年間400万(税引き後で月に約27万円)を毎年切り崩して生活できる場合のシミュレーションである。
全世帯の夫婦2人での平均生活費は約30万と言われているので、実際にはもっと支出が増えることを考えると、決して安全とは言えない。
独身であれば余裕だが、家族持ちでFAT FIREするにはそれなりの節約生活が強いられる。
資産1.2億の場合のリアルシミュレーション
俺の場合、育児給付金をもらいながら1年以上の育休を挟むので、1.2億円の資産規模になっている可能性が実は高い。
安心材料が欲しすぎるので、俺の場合のリアルな数値(資産1.2億円)でのシミュレーションも実施してみた。
その結果が下記のとおり。

結果
| 成功率 | 100.0%(500 / 500回) |
| 成功率(資産も増加した場合のみ) | 99.2%(496 / 500回) |
詳細内訳
| 結果 | 回数 |
|---|---|
| ✅ 成功 & 資産増加 | 496回 |
| ⚠️ 成功 & 資産減少 | 4回 |
| ❌ 失敗(資産枯渇) | 0回 |
40年後の最終資産額の統計(成功ケースのみ)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初期資産 | 1.2億 |
| 平均値 | 約8.1億 |
| 中央値 | 約7.5億 |
資産増加するケースだけで見ても99.2%という驚異的な結果である。
これだけの成功率であれば、余裕で毎日寝れそうだ。
ちなみに同じ条件で500万の切り崩しのパターンでも試してみたが、成功率(資産増加するケースのみ)は98.2%(491/500回)だった。
500万の切り崩しの場合は、月に約34万(元本を加味した税引き後)になるので、もう少し心の余裕ができる。
本当に怖いのは「FIRE直後の暴落」

暴落がいつ来るかを予測することがはは不可能なわけだけど、問題となるのは「5年に1回-20%が来る」と言っても、その最初の暴落がFIRE初年度に来るのか、10年後に来るのかで、結果はまったく違う。
これをシーケンス・オブ・リターンズ・リスク(収益順序リスク)というやつだ。
一発の大暴落より、「5年に1回コンスタントに-20%」という繰り返しパターンのほうが、はるかに資産を食う。
仮にこのレベルの暴落が5年以内に連続するととりあえず泣く自信がある。
暴落が来たとき、「これは一過性の下落か、それとも今後も繰り返すのか」を冷静に判断できるかどうかが、40年計画の成否を分ける。
根本的な対策としては分かりやすくて、「暴落中には売らないこと」、これが全てである。
1億以上の資産規模だと数千万は軽く失うので、かなりの精神的負荷が掛かることが予想される。
正直、ここが一番のハードルだと思っている。
対策①:現金クッションを2年分用意する
FIRE直後の暴落リスクに対して、最も効果的な対策のひとつが生活費の2〜3年分を現金で手元に置いておくことが基本中の基本になる。
1億円すべてを投資に突っ込んでFIREするのではなく、たとえば400万円×2年=800万円を現金・定期で確保しておく。暴落が来ても、その2年間は株を一切触らずに生活できる。
「暴落中に売らない」を精神力だけで実現しようとするのは無理がある。現金クッションがあれば、暴落中も機械的に「現金から生活費を出す」「株には触らない」を続けられる。
精神論より仕組みで解決していく。
対策②:副業収入を細く続ける
精神的に最も有効なのが、少額でも副業収入を作り上げること。
資産の取り崩し額を減らして資産を守ると言う意味では、年100〜200万円の副業収入があるだけで、年間取り崩し額を400万円→200〜300万円に圧縮できる。
ただ、この考え方はあくまで「資産防衛」であり、本来副業収入の役割としては、取り崩し額は買えずに「生活の余剰資金に充てる」+「仕事をあえてゼロにしない精神安定剤(好きな時に好きな仕事をして稼ぐ)」として機能させるべきと考えている。
俺自身、ブログ収入をFIREのバッファとして考えているのはそれが理由である。
「1億円でFIREできる条件」を整理する

ここまでの計算も踏まえると、1億円FIREが40年持つかどうかは条件次第だが、実際にはかなりの高確率で可能であることがわかる。
FIREしやすい条件と、慎重になるべき条件は下記にまとめておく。
余裕のあるFIREしやすい条件
- 暴落が10年に1回・-10%程度に収まること
- 年間生活費が400万円以下に抑えられること
- 副業・ブログなど年100〜200万円の収入を残していること(これはサイドFIRE前提)
- 資産が1億円ちょうどでなく、1.2〜1.5億円の余裕があること(独身、または夫婦2人での平均的な生活水準ではFAT FIREが可能になる)
慎重になるべき条件
- 5年に1回・-20%以上の暴落が頻繁に発生する
- 都市部の生活で年間費用が500万円を超える
- 子供の教育費が別途必要になる(年100万円前後の追加コスト)
- 暴落時に精神的に耐えられず売ってしまう
まとめ:平均リターンで見れば1億FIREは余裕、ただし条件次第
ここまでのシミュレーションの結果を考慮すると、1億でのFIREは実際にはかなり余裕で可能なことが分かる。
とはいえ、結局は相場次第だし、リーマンショックのような下落が今後連続で起こる可能性だって十分にあるわけなので、いずれにしてもまずは現金クッションや副業収入(好きな仕事)を持つことが精神的には一番穏やかにFIREできると思う。
ポイント
- インデックスファンドの代表例であるオルカンの平均9%リターンが続くなら、1億円FIREは40年計画でも十分に成立する
- ただし、暴落の頻度・規模・タイミング、インフレ、住む場所、家族構成によって「100%安全」とは言い切れない
- 未来の相場は誰にもわからない、平均9%はあくまで過去の長期実績であり、今後も同じ保証はない
- 同じ1億円でも、生活費・家族構成・副業の有無でシミュレーション結果は大きく変わる
まず、ご自身の条件でシミュレーターを回してみてほしい。生活費の金額を少し変えるだけで、資産が何年持つかは大きく変わる。
その数字を見てから「完全FIREか」「セミFIREか」を判断するのが、現実的な判断基準にしてみてほしい。